9月に読んだ本 ー 野家啓一『科学哲学への招待』、オールコット『若草物語』

 読書の秋!9月に読んだ本です。

・野家啓一『科学哲学への招待』

これは良い本。高校生ぐらいのときに読みたかった。
内容は大きく科学史、科学哲学、科学社会学という3つの章に分かれている。
アリストテレスの時代の「科学」から近代科学の誕生をひもとく「科学史」、近代科学の発展の過程で起こったさまざまな議論から生まれた「科学哲学」、そして、社会と切り離して考えることができなくなった現代の科学を考える、「科学社会学」。それぞれ独立したテーマではあるが、科学の発展を時系列で追うような形になっている。
放送大学の講義をもとにしたものらしい。どうりで分かりやすいなと。

大学で取ってた科学哲学の授業では岩波の「一冊でわかる」シリーズ (サミール・オカーシャ) が教科書だったな。こちらは科学的推論や科学的実在論といった狭義の「科学哲学」に重点を置いている感じだった。いちばん初めに読むなら野家さんの本かな。

・オールコット『若草物語』



グレタ・ガーウィグ監督の映画が最高だったので、原作を読んでみた。
新潮文庫から出ている松本恵子訳。
かなり古い訳です。登場人物のせりふが「~ですわ!」「~したまえ」という調子。
グレタ・ガーウィグの現代的な解釈から入った自分は最初ちょっと違和感を覚えました。
が、その文体に慣れてくると、グレタ・ガーウィグ版が原作にきわめて忠実なことがわかりました。

内容はいわずとしれた四姉妹の日常と成長を描いたお話。
育ち盛り・わがままざかりの女の子たち(+男の子)の描写が見てきたようにリアル、というか、オールコット自身とその家族をモデルにしているので本当にリアルです。
年相応に失敗したり争ったり泣いたりしながらも「善く生きよう」とする様子が、ほほえましくも胸打たれます。じぶんもちゃんと生きねば、と思わされます。
この本における「善く生きる」はキリスト教的な道徳が色濃く、なじみづらい部分もあるんだけど。若者たちの描写にリアリティがあるので、文化の違いを超えて共感できました。

ちなみにこの『若草物語』は子供時代~お父さんの帰還までで終わっています。グレタ・ガーウィグ版映画でいうと、子供時代の部分だけ。
このあと悲しい展開もあるので、続編も読むかどうかは未定。。


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